【ゼロワン】19・20話、令和でも水落ち

仮面ライダーゼロワン』

第19話「カノジョは家売るヒューマギア」
監督:石田秀範
脚本:高橋悠也

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第20話「ソレが1000%のベストハウス」
監督:石田秀範
脚本:高橋悠也

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【感想】

 人間とヒューマギアのお仕事5番勝負、第2回戦は住宅販売対決。家を売るために生まれた男・新屋敷達巳に対するは、住宅販売員ヒューマギア・住田スマイル。前回と同じく、心を失くした人間がヒューマギアと関わることで心を取り戻す様子が描かれますが、今回はそれに加えて、或人自身もヒューマギアから大事なことを教わり、成長するお話になっています。

 ザイアの社長・天津垓から「利益の上げられない社長など、1%の存在価値もありませんよ」と言われ、社長の仕事について悩む或人。売り上げ勝負なのに予算に対して価格の安い家を勧めるスマイルに、売り上げのことも考えてくれないかと話すが、「私の仕事は、家を売ってお客様に笑顔になってもらうことです」と笑顔で語るスマイルを見て、勝負に気を取られて見失っていた、一番大切なのはお客さんの笑顔だということを思い出します。

 対戦相手の新屋敷もまたこの勝負を通じて、狭い家でも幸せだった記憶を思い出します。直接のセリフではなく、白黒の映像と電車の音、光、風で演出された劣悪な環境の記憶に色がつき、一家団欒の場面となることでその様子が描かれます。

 「勝負はフェアであるべき」と言いつつ、言葉巧みに新屋敷を追い詰め、ヒューマギアを妨害させるよう仕向ける垓の、自分の手を汚さず目的を達成するそのやり方は、或人とは対照的。新屋敷を追い詰めたヒューマギアに仕事を奪われる恐怖、この問題に対して或人がどう反応するのか、今後が気になりますね。

 平成ライダーではお馴染みの水落ち。川での戦闘は第3話でもありましたが、生身の人間が水に飛び込むのは今回が初めてでしょうか。やはり水に飛び込むのと地面に倒れるのとでは迫力が違いますね。新屋敷の残酷さとも相まって、とてもテンションの高いシーンになっていました。そのあとの戦闘、カメラの外で或人とゼロワンが入れ代わるワンカットの変身シーンも良かった。

 19・20話を通して印象的だったのが照明。とくに、垓が登場する時に現れる、まるで後光でもさしているかのような光が印象的で、神々しさを感じました。第20話のラストシーン、或人と新屋敷にキラキラした光が当たり、幻想的な雰囲気になっていましたが、垓が登場すると一変。同じキラキラした光でも、垓の後ろから当たることで顔は逆光で暗く、輪郭だけがキラキラ光り、まさに強敵の登場といった、恐ろしく威圧感のある雰囲気に変わっていきました。

 レイドライザーを渡す謎の人物を追う不破諌。湾曲した画面の奥、闇の中へと消えていく。そして一発の銃声(?)と何かが倒れる音。一体何が起こったのだろうか。今後の展開がますます気になります。