【ネタバレあり】『P5R』幸福な世界で不幸な神様

『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』(2019)

【ネタバレあり】

 発売日にPS4と一緒に買った『ペルソナ5』。『ペルソナストーカー倶楽部』で発表される情報に、ワクワクしながら発売日を待っていました。いやぁ、懐かしい。ペル空耳劇場とか。シーモンキーの空耳がいまだに頭から離れません。杉田さんと磯村さんが5でキャスティングされたのも嬉しかったなぁ。ゲームの方も、『P4G』からさらに進化したバトルと、巨悪を改心させるシナリオが痛快で、夢中になってプレイしました。クリア後2周して、トロフィーコンプして、修羅場を迎えて、隠しボスも倒した……はず、たぶん。

 そんな『ペルソナ5』の発売から3年後、様々な新要素が追加された決定版が本作『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』。当時は「5の世界は遊び尽くしたし、100時間かかるゲームをもう一度遊ぶのもなぁ」と見送りました。が、この間『P3P』をクリアしたことで、自分の中のペルソナ熱が再燃。しかも、最近出たリマスター版がセールで安くなっている。「もうすぐゼルダの新作がでるのに」と、迷いましたが、これはもう買うしかない。一度遊んだゲームだし、ゼルダ前にサクッとクリアするつもりでした。

 プレイ時間は108時間ほど。オリジナル版もそのぐらい時間がかかったので、追加シナリオとゲームを効率よく進める機能とでプラマイゼロと言ったところでしょうか。レベルは特に意識せずとも95に。これはメメントスでの経験値ボーナスによるところが大きい気がします。スタンプを集めて獲得経験値量を増やして、戦車コープの瞬殺アビリティで敵を倒す。これだけで、探索しながらどんどんレベルが上がっていきました。

 追加要素の中で特に便利だったのが、ペルソナがそれぞれ持っている特性。中でも、スキルの消費SPを減少させる特性には助けられました。パーティーメンバーではパンサーが持っています。発動するのは確率ですが、パレスの一日攻略がグンと楽になりました。そのおかげか、1周目でコープランクはほぼ全員MAXに。刑死者コープだけランク9で、あと1日間に合いませんでした。メイド喫茶で遊んでいなければ、もしかしたら間に合っていたのかも。

 本作最大の追加要素は、オリジナル版では描かれなかった3学期のエピソード。本編の結末を邪魔しないように、と言ったら変ですが、うまくつながっているのがおもしろかったです。オリジナル版を遊んだ人なら誰しもが想像した「IF」展開。まさにプレイヤーが望んだ現実。やっぱり、ライバルとの共闘って本当に良いものですね。ペルソナが成長するのにもびっくり。そういえば2体持っていたなと。今までにない好戦的なキャラクターも新鮮でした。決着については、ラスボスにスポットが当たっていて、やや不完全燃焼という感じでしたね。これもいろいろと詰め込みすぎた結果でしょうか。もしかして、最後のセリフもそういう意味? 約束を果たすため、今後のシリーズに期待したいところです。

 新キャラクターの芳澤かすみ。PVでも主役級に取り上げられ、『P5』のイメージカラー、赤いリボンが印象的な人物。物語にどう関わってくるのか予想がつきませんでしたが、なるほど、そういうことか。伏線の張り方とコープの仕掛けが見事でした。

 ラスボスも予期しない人物で衝撃でした。もしかしてと思うことはありましたが、いやいやそんなまさかとすぐに否定できる人物。なぜなら全く悪人ではないから。むしろ、その考え方に賛成する部分もありました。「現実が辛いなら逃げてもいい」、一方「現実が辛くても抗って乗り越える」怪盗団、どちらも間違っていなくて、時と場合によるものだと思います。ヴァイオレットが言っていたように、大切な人を亡くしたときは、一旦現実から目を逸らして、徐々に受け入れていくしかありません。実際、自分もそうでした。だからこそ、戦っていて辛かった。手をとって歩む道もあったはずなのに。ジョーカーだって、相手の話を聞いて、支えて、理不尽な大人は改心させて、やっていることは変わりません。しかし、自分の考える幸福を他人にも当てはめて、誰彼構わず曲解してしまったことは大きな間違い。ここが、暴走しないように、全会一致でターゲットを決める怪盗団とは異なる部分でしょうか。衣装も、ジョーカーの「黒」に対しての「白」で、わかりやすく対比しています。

 それ以外の部分は本当にジョーカーとよく似ています。諦めないところ。他人のためなら自分はどうなってもいい、自己犠牲な行動。どれも自身の唱える幸福とは真逆の行動です。もしかしたら、これもジョーカーに影響を受けて、ラスボス自身が成長したのかなと思ったり。でも、みんなが幸福な世界でひとりだけ不幸な神様なんて、やっぱり悲しい。

 東京、政治、神、悪魔。『P3P』『P4G』『P5R』とやってきましたが、今までで一番メガテンを感じるペルソナでした。