『DQⅣ』仲間と冒険するドラクエ

 今更ながら、ファミコン版のドラクエⅣをプレイしました。

 『ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち』(1990)

 全5章からなる章立てのストーリーが特徴の本作。章ごとに主人公が変わり、その旅の目的も様々です。親の仇を討つ復讐劇だったり、魔物に故郷を滅ぼされたりと、全体的に暗い世界観ですが、思えば『Ⅱ』と『Ⅲ』も親の死が始まりだったわけで、「悲劇」こそドラクエの核となる部分なのかもしれません。

 そんな暗い雰囲気の中だからこそ印象に残ったのが、スタンシアラでのイベントシーン。王様を笑わせる旅芸人パノンの言葉にグッときました。くだらないダジャレが続く箸休めのようなイベントかと思いきや、まさかあんなにカッコいいセリフが飛び出してくるとは。ギャグとシリアスのバランスが絶妙で、いい意味で裏切られました。

 「悲劇」は魔物側にも描かれています。なぜデスピサロは人間を憎み滅ぼそうとするのか。単純な勧善懲悪ではなく、デスピサロにもちゃんとドラマがあることに衝撃を受けました。しかもそのイベントシーンは、強制的に挿入されるいわゆる「神の視点」のものではなく、主人公が夢の中で実際に見たもの。それも攻略に必須のものではなく、情報を頼りに、特定の宿屋に泊まったときだけ見ることができます。プレイヤーが自分で考えて発見したものは、より強く記憶に残りますよね。

 他にも、主人公の両親についてのことだったり、プレイヤーが物語を構築するための要素が、あらゆる所に散りばめられていました。

 本作の目玉であるAI戦闘について、自分はそこまで悪くは感じませんでした。むしろ、コマンド選択の必要がなくて快適にプレイできたなあという印象。普段のプレイでは、ザラキ連発なんて絶対にしなかっただろうし。この呪文は結構使えるんだなという発見もありました。少しポンコツなところも、それはそれで愛着がわきます(トルネコ以外は)。

 名前がついたキャラクターのバックグラウンドを章立てのストーリーで描き、AI戦闘でまるで生きているかのような自我を持たせ、そしてエンディングのあの演出。これまで以上に「仲間と冒険する」ことを意識させる作品でした。

 

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