【ゼロワン】第4話、視線のガイド

仮面ライダーゼロワン』
第4話「バスガイドは見た!アンナ真実」
監督:中澤祥次郎
脚本:高橋悠也

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【感想】

 不破諌が人間には優しいやつで良かった。これまで、ヒューマギアに対する激しい憎悪や復讐心が描かれ、厳しいキャラクターという印象が強かった諌。第4話では、父親がデイブレイクを引き起こしたと思い悩む少年に自分を重ねて、彼に寄り添い励まそうとする人間味のある新たな一面を見ることができました。

 物語は「デイブレイクに隠された真実」を軸に進んでいきます。真実を追求する物語に登場するヒューマギア、ぱっと思いつくのは新聞記者や探偵ですが、ここで登場するのは、土地の歴史を正しく伝えるのが仕事だというバスガイド。これまた何ともユニークな設定です。そして、ヒューマギアをバスガイドとしたことで可能となる、冒頭の演出が素晴らしい。森の中を走るバスのカットから始まり、バスの中で浮かれる或人、バスガイドのヒューマギアへと画面が移っていくのですが、ここの視線を誘導するカット割りと音の処理が自然で見事。バスガイドによるデイブレイクの説明が始まるとカメラは再び外へ、森の景色から一変、水没したデイブレイクタウンが現れます。説明を感じさせないスムーズな展開と、外→中→外で景色が変わっているダイナミックな演出に冒頭から引き込まれました。

 終盤、デイブレイクの真実を記録した映像を発見し、少年は父親が被害を食い止めるため動いていたことを知ります。少年と映像の中の父親が見つめ合っているようなカットバック。実際には見つめ合っていませんが、映像だからこそできる感情の伝え方が良い。その映像を映しているのがバスガイドという設定がまた活きてきます。正しい情報を伝えて終わりではなく、人を目的地に案内するバスガイドだからこその感動もありますよね。

 デイブレイクの他にも明らかになった真実がもう一つ、それはゼロワンの正体。これまで或人が変身していることは誰にもバレていなかったので、諌の前で変身したときは見ている方もおどろきました。でもこのシーン、或人のヒューマギアに対する思いや覚悟みたいなものが見えて、かなりアツいシーンになっています。「真実と隠蔽」という今回のテーマとも合っていてうまくまとまっている印象。何でも公表する或人なら闇営業はやらないだろうなあ。

 ヒューマギアを信じる或人と人間を信じる諌、2つの矛盾した思いが行き着いた真実は滅亡迅雷.net。共通の敵が判明し、さらにゼロワンの正体もわかったことで、これから或人と諌は共闘していくんでしょうか。戦う姿を見たかったという思いもありますが、これはこれで良いな。

 或人のギャグにウケたことを諌が「隠す」終わり方もなかなかシャレている。