『ASTRAL CHAIN』の主人公は君だ

『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』

【感想】

 『ASTRAL CHAIN』クリアしました。エンディングまでのプレイ時間は、だいたい23時間くらい。ミッション形式のゲームなので、メインストーリーだけをプレイするならサクサク進んでいきますが、ミッション内に用意されているサブクエストの数が豊富でついつい寄り道してしまい、気がつけば、サブクエストだけで1時間経っているなんてことも多々ありました。それほど探索が楽しいゲームです。クリア後には新たなクエストが発生し、プレイ時間はまだまだ増えそうです。

 本作の最大の特徴は、主人公と生体兵器レギオンを同時に操作するデュアルアクション。主人公はLスティックとZR、レギオンはRスティックとZLに分けられている操作方法が、右脳と左脳みたいでカッコイイ。別々の敵を攻撃したり、ガードしている敵に集中攻撃をかけたり、レギオンに前線を任せて自分は後方から射撃したりなど、戦況に応じて様々な戦法をとることができます。しかし、慣れるまでが大変。レギオンは自動で敵を攻撃してくれるので、そこまで操作が複雑になることはないのですが、それでも慣れるまでにはけっこう時間がかかりました。最初のうちは自分のことに精一杯で、レギオンの方を見る余裕もなく放任していたのですが、敵の特性を覚えたり、レギオンの当て方がわかってくると、徐々にシンクロ率が上がっていき、なんとか普通に戦える程度には成長できました。こういった新しい操作感のゲームは、普通に戦えるようになるだけでうれしいもんです。

 敵にとどめを刺すとき、「フィニッシュ」のコマンドを押すと特別な演出が入り、体力が全回復します。回復アイテムも楽に入手できるので、これは、敵の攻撃を華麗に避けていくよりも、レギオンと一緒にガンガン攻撃していくプレイスタイルのほうがあっているように思いました。

 戦闘だけでなく、捜査、推理、尾行、潜入、バイク、パズルなど、遊びの幅が広いです。なかでも潜入ミッションでは、「アイリス」という空間や人物の配置を見通す能力や、人の目には見えないレギオンを駆使して進んでいくので、今までの潜入系ゲームとは、また一味違ったおもしろさがありました。

 「突如出現した異形生物キメラの襲撃を受ける近未来の都市を舞台に、特殊部隊ネウロンに配属された主人公が、キメラを装甲で拘束した生体兵器レギオンを操り、人類存亡をかけた戦いに挑む」という設定は、エヴァ仮面ライダー好きにはたまらないもので、一気に心引かれました。物語も、「双子の主人公といえばこの展開だよね、わかる、超好き」なんて思っていたら、そこから、王道でアツイ展開をこれでもかと詰め込んだ展開ラッシュが続き、もうお腹いっぱい、大満足、といった感じです。ただ、物語の余白というか、想像の余地を残している部分があったので、そのあたりがどうなるのか、続編やDLCがでるのか気になりますね。

 双子の主人公の使い方、物語的に重要なのはもちろん、プレイヤーと主人公の関係にも大きく作用しています。

 喋らない主人公ってプレイヤー自身を投影しやすいのはいい点ですが、物語をドラマチックに演出しようとするとなかなか難しい。なので、大抵のゲームでは主人公の代わりに喋るキャラを周りに配置して、ドラマを演出していると思うのですが、これはこれで、周りが喋っているのに喋れない疎外感を感じてしまうやっかいなプレイヤーです、自分は。このゲームでは初めに主人公の性別を決めます。選ばれた方がプレイヤーの操作するキャラクター、もう一方がプレイヤーをサポートするNPCとなり、喋る主人公と喋らない主人公を同時に手に入れたことになります。プレイヤーの感情は残しつつ、一方の主人公が今の感情を語りドラマを盛り上げる。これは画期的な方法だなと思いました。