【ゼロワン】10・11話、現実と虚構に生きる大和田伸也

仮面ライダーゼロワン』

第10話「オレは俳優、大和田伸也
監督:中澤祥次郎
脚本:筧昌也

www.kamen-rider-official.com

第11話「カメラを止めるな、アイツを止めろ」
監督:中澤祥次郎
脚本:筧昌也

www.kamen-rider-official.com

【感想】

 2週間ほど山にこもって修行したり、配達業が楽しくてやめられなかったりで、なかなか見ることが出来ずにいた仮面ライダーゼロワン。3週間遅れでようやく10話と11話を見たのでその感想です。

 10話と11話は2話完結の構成で、ドラマ『義理人情刑事ギリィ』の撮影現場を舞台に物語が進行していきます。飛電インテリジェンスがイメージアップのため制作したこのドラマ、主演を務めるのはハリウッドで演技をラーニングしたという俳優ヒューマギア・松田エンジ。刑事モノで松田というとやはり元ネタは松田優作ですかね。人間を演じるヒューマギア、撮影時に瞬時に耳のモジュールを消去するソフトのおかげで、画面に映る姿はまさに人間そのもの。他にも、ドラマのセリフが現実世界とリンクしていたり、バルキリーと迅の戦いがドラマの世界に影響したりと、現実と虚構の境界、そして人間とヒューマギアの境界がどんどんあいまいになっていく、そんなエピソードのように感じました。

 中でも印象的なのが大和田伸也の存在。架空の仮面ライダーの世界に本人役で出演というのがそもそも現実と虚構を行き来している部分ではあるのですが。大和田伸也の出演作を見て、彼を本物の暗殺者と思い込んだ暗殺ちゃんの「強くなりたい」という現実の願いに対して、あくまでも演技の話だと思い自分の弟子になることを提案します。松田エンジとの撮影シーンで「ヒューマギアの芝居は人間が見えてこない」と不満を口にしますが、耳のモジュールを隠した暗殺ちゃんには「ヒューマギアよりうまいぞ」と彼の演技をほめます。ここでも人間とヒューマギアの境界があいまいになっていることが伺えます。そして11話の終盤、大和田伸也が刑事に撃たれるシーンの撮影。撃たれて地面に倒れる演技をするはずが、暗殺者としてラーニングを終えた暗殺ちゃんに本当に撃たれて地面に倒れてしまいます。この倒れた大和田伸也と隣に立つ松田エンジを映したカットがとても良かった。まるで北野映画のような狂気と静けさ。破壊されても再生するヒューマギアと死んだら二度と戻らない人間。監督の「ヒューマギアは殺人マシンだ」と、滅の「ヒューマギアは人類を滅ぼす存在だ」というセリフ。それまであいまいだった人間とヒューマギアの境界が再びくっきりと分けられた、そんな印象を受けました。

 そのあとのゼロワンvs滅、やっぱり滅のアクションがカッコイイ。屋上で相手の方を見ず正面を向いたまま攻撃を受けるところ。場所が変わって、相手に背を向けたまま歩きながら攻撃を避けるところ。この2つが特に良かった。

  不破諌と刃唯阿の関係も気になる。ヒューマギアが暴走する映像をリークしたことで、唯阿に不信感を抱いた諌だったが、「俺は俺の信じるもののために戦っている」と唯阿のピンチを助ける。この2人こそ義理と人情で繋がっている気がする。これがラブコメなら諌とザイアの社長・天津垓との間で唯阿が揺れ動く展開になるんですかね。そんな唯阿も見てみたい。