【ゼロワン】第8話、暗殺ちゃんは正々堂々戦いたい

仮面ライダーゼロワン』
第8話「ココからが滅びの始まり」
監督:山口恭平
脚本:高橋悠也

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 【感想】

 暗殺ちゃんに刃唯阿の暗殺をお願いしたはずが、正々堂々と正面から工場を襲撃する滅亡迅雷軍団。その大胆な作戦は、自分たちの力を世界に見せつける非常にテロリストらしい作戦とも言えます。気になったのは、暗殺ちゃんに見せた唯阿のデータに大型二輪免許の文字が。いつかバルカンとバルキリーもバイクに乗るときが来るんですかね。

 そして、ついに姿を現した仮面ライダー滅、その威風堂々の佇まい。ちょこまかと動く迅とは対照的に、どっしりと構えて少ない動作で相手を翻弄する戦い方がかっこいい。決め技は、ゆっくりと相手に近づいてからのゼロ距離ライダーキック。余裕たっぷりに動くその姿から溢れる強キャラオーラがすごい。バルカンを突き飛ばしたあとの2、3歩歩くだけのカットがかっこよすぎて震えた。カメラワークと動きが絶妙。

 第8話に登場するのは看護師型ヒューマギア・ましろちゃん。どこかで見たことあるなぁと思って調べてみたら、『桐島、部活やめるってよ』の吹奏楽部の方でした。そんな白衣の天使ましろちゃんがハッキングされて笑い出すシーン、怖かったですねぇ。「ヒューマギアは夢のマシンなんだ」という或人のセリフの後に医療ヒューマギアたちが或人を見つめるカットがあり、一瞬或人の心が通じたのかと思いましたが、そんな期待も虚しく、全員トリロバイトマギアになってしまいました。或人の説得を遮って笑いだすましろちゃんの描写は、ヒューマギアとしての思考を放棄して殺人マシンへと切り替わった瞬間のように見えました。或人の説得で何とかなるんじゃないかという期待と、それをあざ笑うかのように暴走するヒューマギア。王道で熱い展開を準備しながらも、ちょっと外して別の道を進んでいく。そんな期待と裏切りが高橋悠也脚本のおもしろさのひとつだと個人的には思っています。

 ゼロワンVSドードーマギアのシーン。イズと連携して次々とフォームチェンジしていく、その流れるようなカット割りとチェンジの省略が素晴らしい。最初のバイティングシャークへのチェンジは、ドードーマギア単体のカットでチェンジ音を流し、次のカットで、すでにチェンジし終えたバイティングシャークが左からフレームインしてくるというもの。次のフリージングベアーでは、プログライズキーを差し込むベルトのアップから始まり、カメラが引いていくとフリージングベアに変わっている。最後のフレイミングタイガーは、ドードーマギア単体のショットから始まり、チェンジ音が流れカメラが引いていくとアタッシュカリバーを持つフレイミングタイガーの手が映る。どのカットもプログライズキーの起動と音だけでフォームチェンジの映像は省略されています。制作陣がすごいのはもちろんですが、一連の流れを混乱なく見られる視聴者も相当すごいのかも。こういったカット、とくにフリージングベアのような、撮影現場では繋がっていないけど繋がって見えるように工夫されたカットを見つけると興奮します。

 ますます力の入る或人のギャグ。それこそ不破諌の変身と同じぐらいの力み方で。もしかしたら、この力の入れ具合が諌のツボなんじゃないかと思った第8話でした。