【ゼロワン】23・24話、プレバンで商品化と俺は睨んでる

仮面ライダーゼロワン』

第23話「キミの知能に恋してる!」
監督:諸田敏
脚本:高野水登

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第24話「ワタシたちの番です」
監督:諸田敏
脚本:高野水登

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【感想】

  「メタルクラスタホッパーを止められるのはただ一人、ワタシだ」と言わんばかりに、ヒーローのお約束「高い所からの登場」を決めたイズ。ヒューマギアたちの思いを集めて完成したプログライズホッパーブレードで、悪意に囚われた或人を救い出します。或人の善意に触れてきたヒューマギアたちが、今度は或人にその善意を届ける。或人が信じ行動してきた「飛電の意思」が実を結ぶ集大成な内容になっています。

 今回登場するのは、結婚相談ヒューマギアの縁結びマッチ。依頼者・海老井千春のパーソナルデータを分析し、ベストマッチな相手を見つけてお見合いの場を設けます。そこに現れたのはなんと天津垓。この社長にも結婚願望があったのか、意外な一面だ。障子の下から、廊下を歩く足だけを最初に見せることで、まさかと思わせる演出。隣の部屋を覗く或人のヨリから始まり、カメラが引いていくことで奥にいるイズ、さらに奥の廊下を歩く垓が映るスムーズな視線の流れ。

 マッチの性格分析に怒った垓がその場から立ち去ろうとしたとき、ストーミングペンギンレイダーがひょっこりと現れる。応戦しようと、ゼロワンドライバーを取り出す或人だが、また暴走してしまうのではないかと変身を躊躇する。このときの、迷う或人を見つめる垓のいやらしい笑顔が最高でした。

 マッチがレイダーに襲われたことで、或人は変身を決意。メタルクラスタホッパーに変身します。が、やはり暴走。レイダーではなくバルキリーを攻撃してしまう。そこへ、どこからともなくアサルトウルフが登場。ゼロワンのアックスを受け止め、刃を蹴り上げてガンモードに変形させると、そのまま武器を奪って、必殺技を撃ち込む。この一連のアクションがカッコ良かった。

 ゼロワンが怯んだ隙にバルキリーがプログライズキーを引き抜いて、ようやく変身解除。というか、キーを抜くだけで良かったのか。これじゃあ、ベルトごと引っこ抜いた不破さんが本当にゴリラみたいじゃないか。

 今回のポイント、ホッパーブレードの登場はもちろんそうですが、「ヒューマギアが嘘をつく」というのも重要な部分だったと思います。

 千春と幼馴染の二階堂輝男がベストマッチだと気付いたマッチは、千春から嫌われるよう最低最悪の言葉で罵ると、わざと暴走してマギアに変身。千春のピンチに輝男の変身するレイダーが駆けつけ、二人の仲は急接近。悪者を演じることで、二人の恋のキューピッドとなります。いわゆる『泣いた赤鬼』的な善意の嘘ですが、これまで命令を純粋に実行する存在として描かれてきたヒューマギアが嘘をつくのは、限りなく人間に近づいたヒューマギアの進化が伺えます。

 輝男がプロポーズする場面。柔らかい光と、二人の全体を写しその場の空気を捉えようとする手持ちカメラ。まるで青春映画のような瑞々しい画面と、そのあとの、身を潜めて様子を見ていたマッチが「ベストマッチ!」と叫ぶ、ニチアサ感満載な画面とのギャップに笑ってしまった。

 松田エンジは、メタルクラスタキーのデータを手に入れるため、アークの意思に触れたと嘘をつき、垓に近づきます。この嘘には垓だけでなく、僕も騙されました。おそらく、視聴者の999%は騙されたのではないでしょうか。垓がエンジを問い詰める場面。エンジの後ろの壁に映った光と影が斜めにくっきりと別れていて、「一体、白と黒どっちの味方なんだー」って感じになっていたのが良かったなあ。偶然かも知らんけど。

 おもしろいのは、或人と垓の二人とも「ヒューマギアを信じる」という同じことをしているんですよね。或人はイズを信じ、垓はエンジを信じた。しかし、同じ行為でも結果は全く違ったものに。ヒューマギアとの共生を目指す或人と、自分のために利用しようとする垓、二人の違いとその未来がより強調されたように思います。

 24話のラスト、滅の脱走に驚く諌。滅が諌に言った「お前が、お前自身の意思で動いていると、なぜ言い切れる」というセリフからすると、諌が自分の意思に反して滅を脱走させたようにも見える(?)でも、諌がやったにしては拘束具の断面がキレイ過ぎるか・・・。

 1〜16話はヒューマギアの暴走。17〜24話は人間の暴走。人間の暴走も、今回の或人の暴走が終わったことで一区切りついた感じでしょうかね。次回からまた新たな事件が起こりそうな予感。楽しみだ。

 或人はウケを狙ったギャグよりも、素のリアクションがおもしろいことに気付いた23・24話でした。