『オクトパストラベラー』のフィールドコマンドがおもしろい

『オクトパストラベラー』

【感想】

 2018年に発売されたこのゲーム、今更ながらクリアしました。プレイ時間は55時間ほど。

 クリアしたといっても主人公8人のメインストーリーが終わっただけで、サブクエストなどはほとんど終わっていません。噂によると裏ボスなんかもいるらしいので、完全クリアまではまだまだ先が長そうです。

 このゲームがすごいと思った部分、大きく分けて3つあります。

 まず「HDー2D」による鮮やかなゲーム画面。キャラクターや建物など、ゲームに登場するものは2Dのドットで描かれています。そこに、光や水、遠近感を出すぼかしなど、最新の3DCGを使った画面効果をプラスすることで、今までにはなかった「懐かしくも新しい」独特なゲーム画面になっています。ドットとCGが完全に調和している訳ではなく、それぞれがお互いを引き立て、際立たせることで画面の立体感が増しているように感じました。

 次にバトルシステム。敵にはそれぞれ弱点とシールドポイントが設定されていて、弱点攻撃をポイントの回数分与えることでブレイク状態となり、敵は1ターン休み、さらにダメージを与えやすくなります。敵の行動前にブレイクすると、敵の行動はキャンセルされ、最大2ターン休みになるので、画面右上の行動順を見ながら「どのタイミングでブレイクすると一番効率がいいのか」ということに頭を使います。

 ここで重要となるのが、BPを消費して使えるコマンドブースト。キャラクターの技を最大3段階強化できるシステムですが、通常攻撃に使うと追加攻撃ができるようになります。技を強化して大ダメージを与えるか、弱点武器で追加攻撃をしてブレイクを狙うかという戦略が生まれます。自分は、3人は技の強化、残りの1人はシールド削りに専念みたいな感じで戦っていました。

 クリアまで55時間かかった要因はここにあります。単純にAボタンを連打しているだけでは勝てないこのシステム、ザコ戦でも手を抜けず、かなりのやりごたえがありました。

 そして3つめは、フィールドコマンドです。「盗む」や「聞き出す」など、キャラクターにはそれぞれ、町のNPCに対して行える固有のコマンドがあります。これが楽しいい。「盗む」は文字通りアイテムを盗む。「聞き出す」は宿屋の割引情報や隠されたアイテムの情報を手に入れることができます。プレイヤーにとってオイシイことばかりなんですね。なので、新しい町に着いたらまず、フィールドコマンドを一心不乱に使っていく。単純作業なのに、ご褒美がもらえるとわかっているからやめられない。楽しい。

 フィールドコマンドはキャラクターのストーリーを進めるためにも使われます。例えば、屋敷に入るために身分証を盗んだり、聞き出した情報を元に犯人を推理したり、プレイヤーにフィールドコマンドの使い方を覚えてもらうチュートリアル的な役割とともに、このキャラクターはこういう場面でこんな行動をするという、キャラクターを掘り下げる描写にも繋がっています。このシナリオとの連動がとてもうまくて、特にオフィーリアとアーフェンの第4章では、プレイヤーの「こうしたい」という感情とフィールドコマンドでできることがぴったり一致していて、このためのフィールドコマンドだったのかと思うぐらい感動しました。

 美麗なグラフィックと戦略性の高いバトルシステム、そしてシナリオと連動したフィールドコマンド。他にもいい部分はたくさんあるのですが、自分が特に印象に残ったのはこの3つ。これまで、ゲーム部分とシナリオ部分は別物という印象がどこかにあったのですが、そんなことはないと気付かせてくれたゲームでした。