キャラクターを好きになる瞬間

『勇者が目覚めるその前に』

ふりーむ!⇨https://www.freem.ne.jp/win/game/20358

 

 たまには自作ゲームの話でも。

 『勇者が目覚めるその前に』ありがたいことに多くの方にプレイしていただき、感想もたくさん届きました。その中に「ノエルのキャラクターが好きだ」と言ってくださる方が結構いて、とても嬉しかったです。

 というのも、このゲームは「勇者ではないただの村人が魔王を倒しにいく」という内容で、その物語の性質上、ノエルは主人公を連れまわすワガママなキャラクターにどうしてもなってしまいます。

 そんなノエルを「助けたい」とプレイヤーに思ってもらうにはどうすればいいか、とても悩みました。

 コメディシーンを入れてみたり、同情するような場面を作ってみたり、いろいろやってみましたが、僕が「これだ」と思った解決策の一つが、「ノエルのパラメーターをあげる」ことでした。ノエルを主人公よりも強くすることで、プレイヤーはバトルでノエルを頼るようになり、結果的に好きになってくれるんじゃないかと考えたのです。

 この方法を思いついたのは『スパロボ』をプレイしているときでした。

 僕はロボットアニメが好きで『スパロボ』をよくプレイするのですが、当然、中には知らない作品のキャラクターもいます。最初の方は知っているキャラクターばかり出撃させるのですが、知らないキャラクターの能力が高かったり、使いやすい技を持っていたりすると、そのキャラクターの出撃頻度が増えて、だんだんと愛着が湧いてくるんですよね。

 『スマブラ』でもありました。最初はキャプテン・ファルコンが一体どんなキャラクターなのか、何のゲームに登場するのかさえ知りませんでしたが、子どもにもわかりやすい強さが人気を呼び、当時の小学生はみんなファルコンパンチのマネをしていたことでしょう。

 この感覚をなんとか自作ゲームに活かせないかと考えたのが先ほどの方法です。たとえパラメーターが低くても、自分の分身である主人公を嫌いになるプレイヤーはいないだろうと考え、ノエルとの差をつけ、ノエルに頼る場面が多くなるように設定しました。結果的に、主人公の「ただの村人」という設定も相まって、いい具合に収まったと思っていますが、どうでしょうか。

 「戦士は攻撃力は高いが足が遅い」「魔法使いは足は速いけど防御力が低い」みたいに、キャラクターの個性を出すためにパラメーターを設定するのがほとんどですが、それとは違った目的のために設定するのもアリなんじゃないかと思いました。