【ゼロワン】第35.5話、アズの部屋

仮面ライダーゼロワン』
第35.5話「ナニが滅亡迅雷を創ったのか?」
監督:筧昌也
脚本:高橋悠也

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【感想】

 総集編はまだ終わってはいなかった。

 第35.5話は、イズにそっくりなアークの秘書・アズが、滅亡迅雷.net4人のこれまでを振り返るというもの。アーク復活のためには4人のシンギュラリティポイントが必要らしい。滅、雷、亡、迅の順に、ひとりずつアズと面談するような形で話が進んでいきます。

 特徴的なのは、アズの目線のショット。滅亡迅雷.netとアズの会話をカットバックではなく、アズの目線、滅亡迅雷.netのバストショットにすることで、表情の変化や体の動き、アズのセリフのどの部分に反応したのかがわかり、より深く感情移入できるようになっていると思います。普段のゼロワンではなかなか見ない変わったカット割りは、これが現実ではなくアークのシンギュラリティテストという設定ともマッチしていて、少し不思議な感じ。湾曲したヒキの画面も効果的に使われています。

 シンギュラリティテストの流れは4人ともだいたい同じ。滅亡迅雷.netとしての活躍を振り返る→アズの導きでシンギュラリティを振り返る→「お前のシンギュラリティデータはもらうよ」→「アークの意思のままに」。だいたいこんな流れ。核心に迫ったとき、アズがぐっと近づくのが良い。まさに人の心に土足で踏み込んでくる感じ。

 迅のテストだけは少し違っていた。最初に現れたのがアズではなく或飛だったし、シンギュラリティデータを抜き取られた後もいつもと同じ様子だったし。このあたり今後の展開につながっていくのでしょうね。終わったらソッコーで誰かに電話してたし。

 第35.5話の監督はなんと、これまで脚本を書いていた筧昌也。脚本だけではなく、監督も担当することがあるのかとおどろきました。こうなったら、監督・脚本・撮影・出演をひとりで担当する人が現れる日も、そう遠くないのかもしれない。

【ゼロワン】こんな総集編なら大歓迎

仮面ライダーゼロワン』

 

 総集編は好きですか?

 自分はあまり好きではなくて。一週間楽しみに待っていて、それが総集編だったりするとガッカリすることがあります。内容も全て知っているわけだし。

 ゼロワンも5週にわたって総集編となるわけですが、この総集編が一味違う。各キャラクターの声と過去の映像でこれまでの物語を振り返っていくのですが、このカットとこのカットがつながるのかというような、映像と音の組み合わせで新たな場面を作り出す編集と脚本の上手さにおどろきました。いろいろな制限の中でなんとか成立させようとする工夫が感じられておもしろかったです。

 

 

「プレジデント・スペシャル PART.01」
「プレジデント・スペシャル PART.02」
脚本:筧昌也

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 或人とイズがゼロワンの戦いを振り返る「プレジデントスペシャル」。故障でゼロワンのデータを失ってしまったイズに或人がラーニングさせるという筋書きです。この故障したイズがとてもかわいい。いつものような冷静な口調ではなく、子どものように無邪気で、ときどき毒のある言葉で或人を責める、二人のやりとりがおもしろかった。

 最後に、故障したイズは、イズになりすましたアークの使者だったことがわかります。オープニングで登場していた髪の長いイズはアークよりの使者だったのか。黒いアークゼロも現れ、続きが気になるところで次回へ。

 みどころはなんと言っても、天津垓の敗北シーン3連発。負け惜しみを言ったあと、ストップモーションになるほどの気合の入れ方で、制作陣もよほどこのシーンがお気に入りなんだろうな。

 

 

「シューティングスペシャル」

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 不破諌と刃唯阿がバルカンとバルキリーの戦いを振り返る「シューティングスペシャル」。普通すぎる過去をつまらんと言われて、自信を失くしてしまった諌。自信過剰だった昔の自分を見て、自信を取り戻してもらおうというお話。音楽と始まり方から『孤独のグルメ』を感じた。

 唯阿と言い争う映像を見て「あの頃は仲悪かったな」と振り返る諌に「今も良くはないだろ」とすかさずツッコミを入れる唯阿。このやりとり好きだなあ。

 「プログライズキーはショットライザーに入れてから開く」や、滅が諌に言ったセリフなど、なるほどそうだったのかという補足もありました。

 「俺はこのままでいいのか」と思い悩む諌。或人とイズはそんな諌に転職を勧める。「よろしく頼むぜい」とホットペッパーのCMのようなセリフで、次回から、不破諌の転職編に突入。

 

 

「超(スーパー)お仕事大戦 バトル1」

「超(スーパー)お仕事大戦 バトル2」

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 物語の振り返りが終わり、総集編もいよいよギャグ回に突入。諌の仕事を探すという名目で、ヒューマギアの活躍を紹介しつつも、或人、イズ、唯阿の3人が諌をイジり倒す回。

 唯阿がイズの声真似をしたり、諌がゴリラの絵を描いたり、これまでにないゆるい雰囲気で進んでいきます。くだらない内容なのに、オープニングのナレーションがいつものようなシリアスな感じで、そのギャップがおもしろかった。

 結局、全ては諌の夢でした。このまま夢オチで終わるのかと思いきや、諌が自分の仕事は仮面ライダーだと宣言し、ゼロワンとバルカンの同時変身で締めくくり。ゆるい雰囲気から一変、アツいラストシーン。後味の良い回でした。

 

 総集編が終わり、次回は待ちに待った第35.5話。0.5がどういう意味なのか気になる。次回も楽しみだ。

【ゼロワン】34・35話、失われた記憶

仮面ライダーゼロワン』

第34話「これが滅の生きる道」
監督:中澤祥次郎
脚本:筧昌也

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第35話「ヒューマギアはドンナ夢を見るか?」
監督:中澤祥次郎
脚本:筧昌也

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【感想】

 不破諌の最大の秘密、ゲラであることがついに明かされました。ヒューマギアに襲われた暗い過去を持ち、「俺に笑いはいらない」とずっと爆笑をこらえてきた諌。しかし、その記憶は偽の記憶で、亡から聞かされた本当の記憶はごく普通の平凡な人生でした。そのことに安心したのか、亡の放ったどうしようもないダジャレに諌は大爆笑。諌がみんなの前で笑える日が来るとは。過去に縛られていた諌が本当の自分を取り戻した感動的な場面。それをギャグっぽく描いているのも良いですね。

 全く知らない諌の新たな一面を見て、刃唯阿は何を思うのか。

 「失われた記憶」がひとつのテーマになっていて、諌と同じように、滅も父親型ヒューマギアだった記憶を取り戻します。

 滅と飛電或人、そして今回登場する畑山親子と農業管理ヒューマギア・ミドリを主軸に「父と子」にまつわる話が展開していきます。畑山の営む野菜工場も「育てる」という意味で、もしかしたら関わっているのかもしれません。

 「父と子」を表すものとして、父が子をかばう描写がたびたび登場します。第34話の畑山父が滅から息子を守る場面。ここで畑山父がケガを負い、それを補うために息子がザイアスペックに手を出すという、物語の布石にもなっています。

 第35話の滅がゼロワンから迅を守る場面。第15話で滅が破壊されたときを思い出しますね。あのときはアークの意思による行動でしたが、今回はどうやら違うようで。迅を守ったことに自分でもおどろく滅。そのあとの滅亡迅雷.netのアジトで迅を見つめる滅と、その視線に気づいて微笑む迅がイイ。この迅の笑顔が、父親になってくれてうれしい笑顔のようにも、なにか裏があるような笑顔にも見えて、これから先が気になるところ。

 そしてゼロワンがサウザーから滅を守る場面。滅も飛電インテリジェンスに作られたヒューマギアならば、ある意味、或人は親のようなもの。ミドリを破壊され「お前を倒すしかない」と一度は滅を信じられなくなった或人でしたが、迅をかばった滅を見て、父親型ヒューマギアの記憶がまだあることに気づく。更生の可能性を信じて滅をかばう或人の姿に親子のような深い愛情を感じました。

 亡と雷が復活し、勢揃いした滅亡迅雷.net。アークの意思のまま、今後も或人の敵として立ちはだかるのか、迅の語る正義とは何なのか、今後もますます気になります。

【ゼロワン】第33話、想いはテクノロジーを超える

仮面ライダーゼロワン』

第33話「夢がソンナに大事なのか?」
監督:田崎竜太
脚本:筧昌也

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【感想】

 待ちに待った刃唯阿の覚醒回。これまでずっと葛藤していた唯阿が、ついにその迷いを振り切ります。

 登場するのは、テニスコーチ型ヒューマギアのラブチャンと彼の指導する圭太くん。ラブチャンの夢は圭太をプロテニスプレイヤーにすること。そのために彼は圭太に熱血指導しますが、圭太はプロになる気がなく、楽しくテニスをしたいだけとラブチャンに反発します。周りから大きな夢を押し付けられた圭太と、夢を持たない唯阿の思いが重なっていきます。

 社長命令を守れず、天津垓の差し金でレイダーに襲われても迷いを断ち切れない唯阿。垓と電話する場面、その画面の手前に映る鎖が印象的です。

 唯阿の覚醒、そのきっかけはやはり不破諌。前半で唯阿に自分の夢を語っていた諌。そして後半、天津垓から自分の記憶が作られたものだったと聞かされた諌は、その場に崩れ落ち涙を流す。それを見ていた唯阿「私に夢はない、でも信念はある」「テクノロジーは人に寄り添ってこそ意味がある」「あんたはテクノロジーで人の夢を弄んだ」とバルキリーに変身し、垓に立ち向かっていく。諌が夢を持ったという変化が唯阿にも変化を与えた。そして、バルキリーの戦いを見て諌も立ち上がる。「憎しみなんてもういらない、今の俺には夢がある」「お前が作った仮面ライダーという夢が」互いを見て互いに成長する。この二人の相互作用、いいパートナーだな。

 「俺にはザイアをぶっ潰すという強い想いがある」諌がザイアの洗脳を解いた方法。「想いはテクノロジーを超えるんだよ」。戦闘が終わり、恒例のボロボロ垓に唯阿が近づく。ショットライザーを構える唯阿に、垓はザイアスペックを取り出し、唯阿を制御しようとする。唯阿の作ったショットライザーと、垓の作ったザイアスペック。テクノロジーVSテクノロジー。しかし、唯阿はショットライザーを投げ捨て、怒りを込めた拳で決着をつけた。想いがテクノロジーを超えた。

【ゼロワン】第32話、デルモって言ったら

仮面ライダーゼロワン』

第32話「ワタシのプライド!夢のランウェイ」
監督:田崎竜太
脚本:筧昌也

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【感想】

 今回登場するのは、ファッションモデル型ヒューマギアのデルモちゃん。前回登場したジーペンとは違い、彼女はすでにシンギュラリティに達していて、「ランウェイを歩く」という夢を追っている。「ワタシがワタシらしくあること、それが一番のモデルの仕事なの」撮影でも耳のモジュールを消さないデルモは、ヒューマギアであることにプライドをもってモデルの仕事に臨んでいた。そんなデルモの夢を通して、不破諌の中にいる亡の覚醒がこの話では描かれます。

 デルモ破壊の命を受けて飛電製作所に乗り込むエイムズ。飛電の用心棒となった諌が対抗しようとするが、刃唯阿によって亡の人格が引き出されてしまう。そこへ迅が現れ「僕を信じてくれ」と或人に言い残し、亡を解放するため、バルカンを滅亡迅雷のアジトへと連れ去っていく。

 「人間に従う必要はもうないんだよ」と亡を説得する迅。このときの眠っている諌の影が喋り出す演出がかっこいい。ファイズオルフェノクの会話を思い出しますね。撮影現場で、デルモに「君の夢は何?」と尋ねる或人。するとデルモの背中が亡の背中に重なって場面転換していく。おそらく迅も亡に同じ質問をしたのだろう。前回、或人からラーニングしたことを早速実践している。「ヒューマギアが夢を見てもいいのか」亡の意思が徐々に変わり始めるが、いいところで諌が目を覚ましてしまう。「人の体を勝手に使うな」「俺は亡じゃねえ」と諌のプライドが悪い方に働いてしまった。

 イベント会場で諌と滅が遭遇する。このとき何があったかここでは描かれていないが、この直後に亡の意思が変わった。「夢が何なのか、ワタシにはまだわからない」「だから、代わりにヒューマギアの夢を叶えたい」まさに夢の守り人。「ワタシはヒューマギア、でも道具じゃない」亡だけの青白い世界が現実の世界に変わる。押さえ込まれていた亡の意思が表に出てきたということだろうか。そして諌の「俺にも聞こえた、亡の声が」というシビれるセリフ。諌と亡が重なり、二人同時変身。自分の中の亡を認めることで、諌もまた一つ成長したようだ。

 イベント後のインタビューで、夢を持ったヒューマギアは暴走することがないと強く訴える或人。飛行船に映るその映像を見上げる唯阿。何層にも入り組んだ迷路のような道を歩くその姿は、唯阿の心の迷いをそのまま表している。

 サウザーの攻撃を受けてデルモが美顔ローラーを落としたとき、プログライズキーみたいな音がしたことにちょっと笑ってしまった。デルモにとっての変身アイテムと言うことか。